【酒】今後「ジャパニーズウイスキーの定義」が明確になるようです。
今月、ジャパニーズウイスキーの定義、基準が明確になるというニュースがあったので、その内容などをまとめてみます。
そして、生産数が限られているという希少性も相まって、近年ジャパニーズウイスキーの価格は上昇しています。
一方で、日本で生産しているウイスキーの中にも大衆向けの廉価な銘柄も当然あるため、国際的に認められてきた銘柄とは異なるものでも、「日本で生産されていればジャパニーズウイスキーだ」と捉えられても不思議ではなく、前者をジャパニーズウイスキーとして飲んだ時に当初想像していたイメージとの違いが生じるおそれがあります。
そうした事態を懸念してか、先月16日に、日本洋酒酒造組合が「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準の制定について」という発表を行うに至ったようです。
→ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準
上記にも基準が記されたPDFファイルへのリンクを貼り付けましたが、条文表記で読みにくいかと思いますので、主な基準を以下のとおり書き下してみました。
基準の原文のキーポイントを赤太字で強調しました。
これだけ見ると、外国で蒸留したウイスキーをブレンドした銘柄は、ジャパニーズウイスキーではなくなるということになりますが、原材料の麦芽と穀類は外国から輸入してもOKなんですね。
また、ちょっと長ったらしい5ポツと6ポツの内容はそれぞれ、
なお、同基準は組合員間における「自主基準(いわば紳士協定)」であり、法令に基づくものではありません。
昔、オートバイの排気量も自主規制で750ccを上限としていた時代がありましたが、大排気量のハーレーダビッドソンを売りつけたい米国の圧力に負け、自主規制を緩和するに至った経緯があるので、国際的な対応という意味ではそれに似てるなと思いました。
同基準の発表を受けて、ニッカウヰスキー(アサヒ)が積極的に基準に適合する銘柄を発表しています。
→ NIKKA WHISKY 商品紹介
ニッカウヰスキーの「カフェグレーン」は、シングルモルトウイスキーではないものの、旧来の連続式蒸溜機「カフェスチル」を用いた製法で時間と手間を製造されており、人気が高く近年のその価格は上昇傾向にあります。
カフェグレーンの近年の価格推移は以下のとおりです。

休売の公表後には、市場価格が定価の2倍以上となりましたが、現在は1.3倍程度に落ち着いています。
また、まだ、明確に公表されていませんが、サントリーの「山崎」、「白州」、「響」、「知多」、「オールド」やキリンホールディングスの「富士」なども直に基準に適合したジャパニーズウイスキーと表するようになるでしょう。
基準の意図には、麦芽の使用、国内水環境、国内蒸留、国内貯蔵、高アルコール度数といった、これまでのブランド価値を作り上げてきた旧来のウイスキー製造法に根ざしているところが多いような気がしました。
また、市場価値の視点で言えば、現状シングルモルトウイスキーであれば定価以上の価格になる傾向ですが、今回の基準に適合したジャパニーズウイスキーの価値がどうなるのかは見ものです。
特にカフェグレーン、知多、オールド、富士などの市場価格は注視すべきであり、価格が上昇した時を見据えて、今のうちに定価付近で購入しておくのがベストなような気がします。
それにしても、山崎や白州のノンエイジの市場価格が定価の2倍以上なのに対して、ニッカウヰスキーの「余市」と「宮城峡」がネットで定価付近で買えるのは凄いと思いました(さすがマッサンです。)。
(参考ネット記事)
〜Fin〜
ジャパニーズウイスキーの基準とは?
1.はじめに
日本でウイスキーが生産され始めてから、約100年経ちますが、年々そのクオリティが国際的にも認められるようになり、今では「ジャパニーズウイスキー」として、「世界の5大ウイスキー」の1角と呼ばれるほどにもなりました。そして、生産数が限られているという希少性も相まって、近年ジャパニーズウイスキーの価格は上昇しています。
一方で、日本で生産しているウイスキーの中にも大衆向けの廉価な銘柄も当然あるため、国際的に認められてきた銘柄とは異なるものでも、「日本で生産されていればジャパニーズウイスキーだ」と捉えられても不思議ではなく、前者をジャパニーズウイスキーとして飲んだ時に当初想像していたイメージとの違いが生じるおそれがあります。
そうした事態を懸念してか、先月16日に、日本洋酒酒造組合が「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準の制定について」という発表を行うに至ったようです。
→ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準
2.ジャパニーズウイスキーの定義
日本洋酒酒造組合の発表により、これまでのジャパニーズウイスキーとしての価値を生み出してきた銘柄のみが、同組合の基準に適合するものとして認められることになりそうです。上記にも基準が記されたPDFファイルへのリンクを貼り付けましたが、条文表記で読みにくいかと思いますので、主な基準を以下のとおり書き下してみました。
- 原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
- 糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は 95 度未満とする。
- 内容量 700 リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して 3年以上日本国内において貯蔵すること。
- 日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は40度以上であること。
- 日本ウイスキー、ジャパンウイスキー等の同義語で表示する場合、外国語に翻訳して表示する場合又は、種類、タイプ、型若しくは風等の表現を行う場合であっても第 5 条に定める製法品質の要件に該当しないときは表示することができない。
- 2021年3月31日以前に事業者が販売するウイスキーについて、第 5 条に定める特定の用語を表示してきたとき(第 6 条第 1 項に定める表現で表示してきたときを含む。)又は第 6 条第 2 項各号に定める表示をしてきたときは、2024 年 3 月 31 日までの間、当該表示してきたウイスキーに限り、なお従前の例によることができる。
基準の原文のキーポイントを赤太字で強調しました。
これだけ見ると、外国で蒸留したウイスキーをブレンドした銘柄は、ジャパニーズウイスキーではなくなるということになりますが、原材料の麦芽と穀類は外国から輸入してもOKなんですね。
また、ちょっと長ったらしい5ポツと6ポツの内容はそれぞれ、
- ジャパニーズウイスキーとその同義語(日本ウイスキーなど)を使うなら、1〜4の基準は守れよな
- 急に決めた基準だから、これまでジャパニーズウイスキーと称していた銘柄は、2024年3月31日までの3年間は基準に沿ってなくてもそのままでOK(でも3年後はちゃんとした製品にせなアカンぞ。)
なお、同基準は組合員間における「自主基準(いわば紳士協定)」であり、法令に基づくものではありません。
昔、オートバイの排気量も自主規制で750ccを上限としていた時代がありましたが、大排気量のハーレーダビッドソンを売りつけたい米国の圧力に負け、自主規制を緩和するに至った経緯があるので、国際的な対応という意味ではそれに似てるなと思いました。
3.定義に該当する銘柄例
では、現行ブランドで上記の基準に適合しているものは何なのかを見ていきましょう。同基準の発表を受けて、ニッカウヰスキー(アサヒ)が積極的に基準に適合する銘柄を発表しています。
→ NIKKA WHISKY 商品紹介
ジャパニーズウイスキー | メーカ 希望小売額 | 現 状 価 格 |
ニッカウヰスキー 竹鶴ピュアモルト 700ml | 4,000円 | |
ニッカウヰスキー 余市 | 4,200円 | |
ニッカウヰスキー 宮城峡 | 4,200円 | |
ニッカウヰスキー ニッカ カフェグレーン | 6,000円 |
ニッカウヰスキーの「カフェグレーン」は、シングルモルトウイスキーではないものの、旧来の連続式蒸溜機「カフェスチル」を用いた製法で時間と手間を製造されており、人気が高く近年のその価格は上昇傾向にあります。
カフェグレーンの近年の価格推移は以下のとおりです。

休売の公表後には、市場価格が定価の2倍以上となりましたが、現在は1.3倍程度に落ち着いています。
また、まだ、明確に公表されていませんが、サントリーの「山崎」、「白州」、「響」、「知多」、「オールド」やキリンホールディングスの「富士」なども直に基準に適合したジャパニーズウイスキーと表するようになるでしょう。
4.まとめ
今回は、2021年4月から表示が基準化された「ジャパニーズウイスキー」についてまとめてみました。基準の意図には、麦芽の使用、国内水環境、国内蒸留、国内貯蔵、高アルコール度数といった、これまでのブランド価値を作り上げてきた旧来のウイスキー製造法に根ざしているところが多いような気がしました。
また、市場価値の視点で言えば、現状シングルモルトウイスキーであれば定価以上の価格になる傾向ですが、今回の基準に適合したジャパニーズウイスキーの価値がどうなるのかは見ものです。
特にカフェグレーン、知多、オールド、富士などの市場価格は注視すべきであり、価格が上昇した時を見据えて、今のうちに定価付近で購入しておくのがベストなような気がします。
ジャパニーズウイスキー | メーカ 希望小売額 | 現 状 価 格 |
ニッカウヰスキー ニッカ カフェグレーン | 6,000円 | |
サントリー 知多 | 3,800円 | |
サントリー オールド | 1,880円 | |
キリン 富士シングルグレーン | 6,000円 |
それにしても、山崎や白州のノンエイジの市場価格が定価の2倍以上なのに対して、ニッカウヰスキーの「余市」と「宮城峡」がネットで定価付近で買えるのは凄いと思いました(さすがマッサンです。)。
(参考ネット記事)
「ジャパニーズウイスキーの定義」が4月1日から明確に。今ごろなぜ?(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース
―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―
2021年2月16日、日本洋酒酒造組合は「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準の制定について」という発
〜Fin〜
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